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「インクルーシブ・デザイン・ラボ・プロジェクト」は、東京大学先端科学技術研究センターが中心となり、バリアフリー支援室、環境安全センター、大学総合教育研究センターなど複数の学内組織とも連携しながら、誰ひとり取り残さないインクルーシブなキャンパスの実現を目指します。これまで障害者などのマイノリティは、研究の対象とされることはあっても、研究の主体となることは稀でした。このプロジェクトでは、多様な人々を包摂するアカデミアを実現させるために、大学組織の「structure:ストラクチャー(制度や物理的環境)」と「culture:カルチャー(人々の価値観に基づく慣習や態度)」の両面から、知識を生み出す工場とも言える大学組織のデザインを、障害等の様々な困難を持つ当事者ならではの視点で提案し、キャンパスに実装することを目的としています。

【Inclusive Structural Design】 障害のある学生や研究者の教育研究活動について、講義など、テキストを媒介にしたカリキュラムの配慮についてはノウハウが確立しつつある一方で、主に理工系を中心に、身体の感覚や運動機能が求められる実験や実習場面での支援は立ち遅れています。私たちは、障害の多様性、研究分野の多様性という2つの軸を交差させ、当事者参加型のアプローチにより、主に物的環境のインクルーシブデザインに関わる研究を行います。具体的には、国内外の文献調査と視察、インタビュー調査を踏まえ、専門家とともにガイドライン・事例集を作成し、また、研究分野毎に、どのような作業が要求されるかを作業分析の手法で体系化していきます。さらに、インクルーシブな実験室や、共同創造のプラットフォームとしてのメーカースペースのコ・デザインを目指します。

【Inclusive Cultural Design】 多様なマイノリティ属性をもつ構成員が、互いの限界をオープンにしながら補い合い、チームとして高いウェルビーイングとパフォーマンスを発揮できるインクルーシブな研究環境を実現するためには、マイノリティの経験についての深い理解だけでなく、謙虚さや心理的安全性などを備えた組織文化を定着させる必要があります。またこうした文化は、共同創造を担うマイノリティ・コミュニティにも同様に実装する必要があるでしょう。具体的には、学習可能な当事者研究プログラムを開発し、アウトリーチやファカルティ・ディベロップメント(FD)を介して、マイノリティ・コミュニティや研究室に実装するとともに、その効果検証を目指します。検証は、謙虚さ表出尺度や心意的安全性尺度などを用いた量的研究だけでなく、エスノグラフィーやエスノメソドロジーなどの質的分析も組み合わせていきます。

Members

熊谷 晋一郎 KUMAGAYA Shinichiro
東京大学
先端科学技術研究センター
当事者研究分野 准教授
脳性麻痺

並木 重宏 NAMIKI Shigehiro
東京大学
先端科学技術研究センター
生命知能システム分野 特任准教授

綾屋紗月 AYAYA Satsuki
東京大学
先端科学技術研究センター
当事者研究分野 特任講師
自閉症スペクトラム

工藤怜之 KUDO Satoshi
東京大学
先端科学技術研究センター
当事者研究分野 特任助教

※熊谷と並木の対談記事はこちらをご覧ください。⇒東京大学先端科学技術研究センター:対話する「未来論」06(公開日:2017/08/16)